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領域概要

領域代表挨拶


領域代表者
藤田直也
(公財)がん研究会 
がん化学療法センター

 人体は約37兆個の細胞により構成されていると報告されていますが、その細胞集団は均一ではなく、組織幹細胞より分化したダイバーシティーに富む細胞から構成されています。ダイバーシティーに富むことで、環境変化に耐えうる強靭な組織・臓器が形成されています。そのため、このダイバーシティーが破綻すると様々な疾患の発症へとつながることが示唆されています。ダイバーシティーに富む細胞がどのように組織・臓器内に配置されどのように相互作用しているかを解析することで、強靭な組織・臓器の成り立ちを理解することにつながるものと考えられますが、解析手法が無かったことやダイバーシティーに富む細胞同士の相互作用はあまりにも複雑であり統合的な解析ができなかったことなどが原因となり、統合的な解析は十分には進んでいません。しかし近年、シングルセルレベルでのオーミクスデータが安価に取得可能になり、膨大なデータをビッグデータとして処理する手法も大きく進展してきています。さらには、組織・臓器を透明化してシングルセルレベルで3次元位置情報を取得できるようになってきております。そこでこの機会を捉えて、シングルセルレベルの細胞間相互作用を解析し、そこに透明化による3次元細胞位置情報などを付加することで、正常組織あるいは疾患組織内の細胞社会ダイバーシティーを統合的に解析していくことを目指します(図)。もちろん、このダイバーシティーに富む細胞間の相互作用といった複雑系の膨大なデータを統合するためには、従来の分子生物学的解析手法のみでは不十分であり、得られた定量データを数式に変換した数理モデルの構築が不可欠です。さらには、遺伝子改変動物・昆虫やオルガノイドモデルを用いた、数理モデルのシミュレーションにより見出されたキーとなる分子やパスウェイの検証も、組織・臓器の構築あるいは疾病発症に関わる真の分子の同定には不可欠です。

 そこで、生物学の研究者だけではなく、数学・工学・情報科学・ゲノム生物学などの多様なバックグラウンドを持った研究者が集まり、領域横断的な共同研究をすすめることでこの難題を解決していく場として、新学術領域研究「細胞社会ダイバーシティーの統合的解明と制御」(略称:細胞ダイバース)が発足しました。このような異分野連携により、組織・臓器の構築機構といった生命現象の根本につながる原理の解明や数理解析による理論構築、さらには同定された分子を標的にした新世代の疾病治療法開発へとつながっていくものと期待しています。

お問い合わせ

総括班事務局
(公財)がん研究会 がん化学療法センター所長室
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電話 03-3520-0111 内線5413
FAX 03-3570-0484
E-mail cDiversity@jfcr.or.jp

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