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細胞間相互作用による細胞ダイバーシティー形成機構の解明と疾患治療への応用

研究分担者
田﨑 創平
国立研究開発法人理化学研究所

研究概要

多様な細胞型が形成する秩序ある細胞ダイバーシティーは、その細胞社会の頑健性の骨子である。原核生物においても同様であり、異なる細胞型をもつ細菌細胞集団が作る頑強なバイオフィルムはその最たる例である。状況・部位に応じて細胞型が選択され、そして各々の型の部分集団は環境の変化に応じて細やかに活動を調節する。さらに、これらの集団間の分業によって、総体としての細胞社会の柔軟な発展を実現している。これまでに、枯草菌をモデルとして多様な細胞集団形態の形成に実験と理論の両面からアプローチしてきた。環境条件に対応する形態を調査し、その成長戦略的優位性と自己組織化の機構を明らかにしてきた。最も重要なことに、環境の変化に対して頑健な細胞社会構造は、運動性細胞や基質産生細胞をはじめとする様々な細胞型の集団同士が協奏することによって達成されている。特に成熟したバイオフィルムでは、多様な型の細胞集団がそれぞれ適切な部位に分布し、様々な機能を実現している。例えば皺構造の直下に物質輸送のチャンネルが存在し、外界との境界部分には耐水性のレインコートを備え、適当な部位に子実体様構造を形成して芽胞を集積する。このような細胞ダイバーシティーを本質的機構にもつ集団形態形成を理解するため、細胞型や環境応答の制御を行う遺伝子ネットワークと、それを載せる細胞群動力学の数理モデルを開発している。巨視的な場の数理モデルとの組み合わせが可能であり、広範な環境条件下での細胞集団形態の自己組織化機構を理解し、再現するのに極めて有効である。この数理フレームワークは、細菌のみならず、広く細胞社会ダイバーシティー形成を記述するポテンシャルを有する。様々な対象で実験および理論研究と連携し、このフレームワーク上で数理モデルを構成することにより、細胞ダイバーシティーの共通原理の解明を目指す。

参考文献

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